日本の洪水・浸水被害の増加、今なぜ浸水対策が大切なのか?

 

 

前回は、雨の降り方が昔とは変わってきていて、1時間に80ミリ以上の強い雨が多く発生したり、土地の形状が土(畑)からアスファルト(駐車場など)に変わることによって降った雨が浸透せず一気に下水に流れるために処理能力を超えて溢れてしまい、浸水被害を引き起こすこと。

浸水被害が昨今では増えてきていることをお話ししました。

 

前回記事:近年の浸水被害を引き起こす原因は雨の降り方の変化

 

今回は、前回お約束通り主な浸水対策についてお話していきたいと思います。

 

がそのまえに・・・・   浸水対策の重要性についてどう思いますか? きっとやらないよりはやったほうがいいという程度だと思う方が多いのではないでしょうか?

 

3.11の東日本大震災以後、会社に避難袋やスニーカーなどを置いておいたり、自宅に水や食料など私の友達は、

避難袋を3つも用意して、家じゅうにミネラルウォーターを置いてそれはそれは涙ぐましい管理をしております。

 

もっと身近に起こる浸水被害については、実際に被害にあった家でも十分な対策はなかなかできているところはまだまだ少ないと思います。

 

「備えあればうれいなし」備えあれば憂いなしとは、普段から準備をしておけば、いざというとき何も心配がないということ。(故事ことわざ辞典より抜粋)はすべての災害につうじる合言葉です。

いらぬ不安を抱かないためにも、自分たちの環境にあった浸水対策をしていきましょう。

 

■一般的には土嚢(どのう)で浸水対策が多い

 

土嚢ってなんだかわかりますか?

 

はやくいえば、土が入っている袋のこと。弊社がある江戸川区では、ゲリラ豪雨が発生すると浸水被害が発生するため、 浸水被害対策として土嚢ステーションを各所に設置し、必要な人は自由に持って行ってくださいねというスタイルをとっています。お年寄りなどには土木課の方が持ってきてくれるようです。

 

江戸川区土のうステーション江戸川区土のうステーション

 

土嚢は先に話しましたが、袋の中身は、「土」。土って重いんです。

ではここで問題。 1個の土嚢は何キロあると思いますか? 土嚢袋は、約480ミリ×620ミリの一般的な

土嚢袋。 正解は約20キロ!  1個では土嚢は役に立ちません。それを必要な数用意するとなると・・・

15から20個は簡単に必要になると思います。総重量はなんと…300㎏~400㎏!!!!

でもこの重さは、水を吸っていない土の場合なので、雨が降って水を吸った土嚢は・・・もっと重くなるんです。

 

もはや想像しただけでも腰が痛くなりそうな話ですが。

じゃあ、家に保管しておけばいいって思うでしょう・・・土嚢袋って土をいれてしばらくたつと

破れて土が出てきてしまうのです。その土は、一般的にごみとして出すことができないので・・・・

もらうのはいいけど、保管・処分がとっても大変なんです。

 

次に恐怖の小話。過去に自宅の駐車場に浸水経験あり。車の修理に大変な思いをしたことがあるAさんは強雨が降りしきる中、大切な自分の車を守るために駐車場の前に一生懸命土嚢を積み上げました。ちょうど積み終わったときに、道路はかなり冠水してきました・・・ 「よかった間に合った!」   っとほっとした時

そこに1台のトラックが…   どうなるでしょうか?

 

それは、通過したトラックに引き起こされた波が、Aさんが今一生懸命つくった土嚢の砦に容赦なくあたり、

土嚢が倒壊・・・もはや悪夢ですね。でもこれは実際にあった話。

土嚢はただ積めばいいというものではないのです。 崩れないための積み方があるのです。

 

もちろん浸水する量が毎回10センチほどなら、土嚢を横に一直線に並べるだけでもいいと思いますが。

代用品としてホームセンターに売っている園芸用の土を土嚢の代わりにするのもいいと思います。

袋が強いので、土嚢袋よりは破れないと思います。

もしやぶれてしまったらお花でも家庭菜園でもやれば一石二鳥!!

 

お年寄りのお宅では、土嚢袋を小分けにして、土嚢を作っておくのもおすすめです。

一度作って、持っていただいて無理のない大きさ・重さのものを用意しましょう!

 

ただし保管は野ざらしにならないところで、設置場所に近いところを選ぶのがポイントです。

多くの市区町村で土嚢配布は行っていますので、役所に問い合わせして相談してみてください。

 

■知らない人も多い!?浸水対策・水嚢編

 

先ほどは、袋の中身が「土」でしたね。

今回は、「水」です。  考えましたね。 水には水を!ってことでしょうか?

 

東京都の防災ブックや消防署のホームページにも水嚢の作り方や使い方が載っています

私個人的にはお勧めしません。なぜなら、水が流れてくるのに水嚢では、静止した水できれいな水なら効果はあるかもしれませんが、正直実際は車も人も通るたびに波がおき、その波に共鳴されて水嚢は動いてしまうのです。

 

漂流物の枝が運悪く刺さればそこで水嚢は終わりです。 作った水嚢をケースに入れて使うといってもケースとケースの間には隙間ができるので、レジャーシートやブルーシートで被う作業が必要ですが、

作る手間と設置の手間を考えればあまりお勧めできません。

 

ただし、家屋内に排水口(トイレやお風呂・台所)から逆流することがある場合は、水嚢で排水溝を覆うという使用方法は有効だと思います。

 

■今後の国内への浸透が見込まれる。浸水対策・止水板編

 

最近、大きな注目を浴びているのが止水板です。

 

止水板とは、建物の出入口や駐車場・大切な機械設備等に水が浸入しないように、板を設置して、浸水対策を講じるというものです。地下鉄の入口など止水対策では多く見られるようになりました。

 

土嚢と比べると事前に工事が必要な場合もあり、工事費等もかかるので金額的な負担は土嚢に比べれば

多くなりますが、地区町村によっては助成金制度もあるので、ぜひ役所へ問い合わせてみてください。

 

止水板は、パネル(板)の大きさも重さも止水性性能も収納方法もメーカーによって様々。

ということで今回は脱着式止水板「浸水ストッパー」を例にとって検証したいと思います。

 

まず重要なのはパネル! 実際に収納場所から設置場所まで運び設置するのは体力自慢の男性ばかりでしょうか?いやいや日中の家や事務所内は、女性の方が一人や少人数しかいないというほうが多いいと思います。

 

そんな時に、パネル1枚の重さが重くてはせっかく止水板があっても設置が困難になってしまいます。

浸水ストッパーはW1.5mのパネルの場合、1枚が約4キロと軽量の為女性でも持ち運べます。

パネル1枚の高さは約18センチ 幅は、30cm~ジョイント柱を用いることで無制限に延長可能です。

 

次に設置。 事前に工事してあるレールに入れるものが多く設置はメーカーによって大きく変わってくるので

よくメーカーのカタログなどを見て簡単なものを選びましょう! 

 

浸水ストッパーは両側レールにパネルを入れ、専用工具で両側1か所ずつロックをし、最後に上部ロックをします。2つのダブルロックシステムで高い止水性を発揮します。

性能は特に重要です。

 

せっかく設置したのに、水が漏れてしまうことがあれば、心配はなくなりませんからね。

多くのメーカーでは漏水量が明示されています。

 

 1時間にどれほどの量の漏水があるのかは忘れずに確認しましょう!

浸水ストッパーは漏水0CC(弊社テスト結果による)漏水しないから、水槽を作って中で金魚が飼えます。

 

弊社では、高い止水性を証明するために、浸水ストッパーを用いて水槽を作り、会社内にて金魚を飼っております。

 

浸水対策

 

そして次に大事なのは、強度!

 

先ほど土嚢のところでお話ししたように実際は、通過する車両や人によって波や水流も起きます。

漂流物が流れてくることも想定されます。

 

そんなときでも衝撃に耐えれる力が大切です。

多くのメーカーでは衝撃性については記載のないことが多いいと思いますが、忘れずに確認しましょう!

浸水ストッパーは約60㎏の衝撃にもびくともしません。(弊社テストによる)

 

そして忘れちゃいけないのが収納! 普段はもちろん収納しておかなければいけません

収納スペースの確保は重要ですが、日常生活の邪魔になるようではもともこもありません。

浸水ストッパーは縦収納も横収納も可能なため、階段下のスペースや壁の空いたスペースなど

自由にコンパクトに収納が可能です。

 

最後に工事を伴う場合、サポートや保守。工事に対する知識や経験の豊富さ。

営業マンの防災に対する知識の豊富さなど確認をして安心できる業者を選びましょう!

 

止水板のほかにも、電動式のタイプ(起伏式)のものや止水性能がある窓など

様々あるので、一度専門家に相談してプランニングをしてもらうのもいいですね。

 

ということで今回はここまで。

 

次回はどんなところに止水板など浸水対策をするのか?について

お話しします。

 

多くの市区町村で土嚢配布は行っていますので、役所に問い合わせして相談してみてください。

 

  • 旭日建設株式会社 新井寿美子
    旭日建設株式会社 新井寿美子

    新井寿美子(あらいすみこ)
    旭日建設株式会社 代表取締役
    http://www.kyokujitsu-group.com

    防災士 日本防災士会所属 江戸川区防災士会所属
    東京都江戸川区在住。

    防災士としての知識をいかして、ゲリラ豪雨などの浸水被害から構造物を守る自社製品の脱着式止水板 「浸水ストッパー」の普及に力をいれている。

    浸水被害は必要な対策を講じることで被害が最小限に食い止めることができる災害である。

    よってお客様のライフスタイルにあった浸水対策の提案を心掛けている